· 

暴力にはもちろん反対ですが

 一研会の道場生の入会動機は『礼儀作法を学ぶ』『楽しそうだった』『体力増強』が大半を占めます。これらは保護者の方の意見ですが、実際に入会して順調にオレンジ帯に昇級し、組手稽古を開始した時点で道場生本人や保護者の方がギャップを感じることがあるようです。空手の格好いい部分や楽しそうな部分だけを見て、それが全てだと捉えているとそう感じるかも知れません。しかし、どう取り繕っても空手は人を倒す術を学ぶ武道です。

 現在は、私が若い頃のように校内や町中で殴り合いの喧嘩を目にすることは少ないでしょうし、私より少し若いくらいの道場生にも「人を殴ったことも殴られたこともない」という方がいます。という私も日常で自分から暴力を振るうことはありません。しかし、どこにでも攻撃的な人はいますし、世界中に暴力は蔓延しています。

 だからこそ、そういった不当な暴力(言葉の暴力も含みます)への対抗手段は必要だと思います。もちろん自分から積極的に暴力的な手段を用いることは論外ですが、逆に万一相手がそのような手段で意に反することを強要してきた場合、それに対する武力がないと辛いことになります。

 戦国時代に比べて比較的平和なはずの江戸時代でも、武士は学問と同時に武芸に励みました。彼らは『力なき正義は無能』だと知っていたのではないでしょうか。